『ミャンマー国バガン国際空港整備計画』
(2017年〜)
2011年入社・中途
建築部(本社)
T.MIYOSHI
舞台はミャンマー。歴史遺産地バガンの玄関空港であるニャンウー空港を国際空港として民営化するための整備計画です。2016年に当社のグループ会社となった英国の建築設計事務所BDP社との初の協業案件であり、主に空港インフラ計画を当社が、空港ターミナルビルの設計をBDP社が担当しました。土木と建築、バックグラウンドの異なる2社がいかにシナジーを発揮できるか。真価が問われていた案件でした。
さて、バガンでは、時を同じくして世界遺産登録の準備が進められていました。そうした背景ゆえに、ユネスコやミャンマー国宗教文化省から、飛行機の騒音、振動の影響を懸念する声が上がりました。当社の環境評価チームは、そうした懸念の声と真摯に向き合い、エンジニアリングの視点から遺跡へのインパクトは全くないことを証明してくれました。その仕事を頼もしく思うと同時に、私たちの仕事では、さまざまなカウンターパートの声に耳を傾けながら、課題を抽出、共有し、ソリューションをともに見つけていくことが重要だと改めて実感しました。たとえプロジェクトに非協力的な人たちがいても、粘り強く接点を作り出し、計画に巻き込んでいくことで道が開けるのです。
本プロジェクトは、ミャンマー政府の運輸通信省大臣(当時)が現地視察に訪れ、大変好意的に受け入れていただきました。その後、現地政府内において空港開発の話があるたびに、本件を空港開発の良き計画事例として引合いに出していただいており、こうした評価は率直に誇りに思います。将来は、本空港案件を起点としながら、バガン全体が活力をもった地域として発展できるよう支援を継続していきたいと考えています。
『山梨市公共施設個別施設計画策定支援』
(2019年〜2021年)
2018年入社・新卒
建築部(本社)
M.MORITO
個別施設計画とは、自治体が保有する公共施設について、今後の維持管理方針や施設のあり方についてとりまとめた計画のことです。計画策定に際しては、国等が示した指針がある程度あるものの、具体の内容は各自治体に委ねられているため、自治体の状況や方針等を踏まえながら発注者とともに計画を作り上げていきます。
本プロジェクトでは、山梨市が所有している約250の建築系公共施設が対象であり、その一つ一つに対して今後も使用するのか、それとも廃止するのか、あるいは集約するのか等を検討していきました。施設によっては50年以上昔に建てられており、施設の基礎情報が不足しているというケースもあります。まず全容を把握することがひとつのハードルでした。
また、自治体の全建築系公共施設を対象とするという性質上、計画を策定するうえで、発注課の担当者だけでなく、施設を実際に所管する課の担当者や、住民の理解が重要となります。特に施設を取り壊す場合には、住民に不便を強いることになるため、丁寧な説明が重要です。コロナの影響から、ワーキングや説明会等の開催については当初の予定通りに実施できなかったこともありましたが、発注者と協力しながら開催方法を工夫し、全庁的に公共施設マネジメントに取り組んでいくための支援を行いました。
10年~30年先を見据えた計画ですので、計画策定自体が自治体の状況改善にすぐに直結するものではありません。しかし、本計画をもとに施設の適正化を図っていくことで、より良いまちづくりが実現されるものと信じます。プロジェクト完了時に発注者の方からお褒めいただいたときは、非常に大きな達成感を得られました。
『A駅周辺土地再整備計画』
(2019年〜)
2012年入社・新卒
事業開発部(本社)
M.YANO
A駅周辺に位置する該当エリアは、駅から徒歩約5分という利便性の高い立地。しかし、高低差が大きくポテンシャルを発揮しきれていないことや、狭くて危険な急坂しかアクセスがないといった課題が見られました。そのため、検討調査業務の事業者選定時の提案において、地形を変える等のダイナミックな再整備を視野に入れたまちづくりの方針を盛り込み、無事に特定され、プロジェクトの検討が始まりました。しかし、公有財産を含む2者の土地を活用する必要があり、関係者の意向や条件が複雑に絡み合う中で、最初の土地利用の大きな方向性を決定するまでは非常に難航しました。
決まった敷地に建物を建てるという発想ではなく、地域をより良くするために制約をどうクリアするかという視点で、関係者とともにあらゆる課題をあらゆる角度から検討し、事業を少しずつ進めていきました。例えば、敷地形状変更や法規制を踏まえた建物ボリュームの最大化、エリアの付加価値、地域課題への対応、各主体のメリット……。複数の物差しで検討しながら、最適解を模索する日々。説得力のある資料を作るため、チームの皆で意見を出し合い、発注者の悩みに真摯に向き合うことで、少しずつプロジェクトが軌道に乗っていきました。そうして形にした提案が、発注者のプレスリリースを通して世の中に打ち出されたときは、非常に感慨深いものがありました。
プロジェクトはこれからも続き、今後事業公募を経て、民間デベロッパーにより事業が実現していきます。施設が出来上がって人々が使っている姿を見ることが楽しみです。
『八ッ場ダム地域振興関連』
(2017年〜)
2017年入社・中途
地域デザイン部(本社)
S.MANAGO
日本工営は以前より八ッ場ダムの本体設計、地質調査等に携わっており、今回のプロジェクトでは「地域振興検討業務」を担当しました。もともと群馬県の八ッ場ダム事業では、水没地域の移転補償として、ダム湖周辺の地域振興が重要課題と位置付けられていました。本プロジェクトはそうした背景のもと立ち上げられ、計画を具体化していく役割を担っていました。
私は主担当として、ダム湖周辺の遊歩道や公園・ダム天端苑地(ダムの一番高い区域)等の基本・実施設計を行いました。遊具や園路、樹木、サインの設計だけでなく、休憩施設やトイレなどの建築やインフラ(電気、給水、下水、雨水排水)など、検討しなければならない事項がたくさんありました。社内他部署はもちろんのこと、協力会社やメーカーの方々とも連携をとりながら、複数箇所の設計を同時に進めていきました。大きなキャリーバッグに入りきらないほど膨大な報告書を取りまとめたことは、私の管理能力を鍛えてくれたと思います。
実際に完成した公園や遊歩道、ダム周辺の苑地を、子どもから大人まで多くの人々が利用している様子を見たときは、感無量でした。自分が想像していたとおりに人々が楽しく利用でき、イメージスケッチに描いた景観が実現していたからです。八ッ場ダムを訪れる人々や地元住民、子どもたちにとって、憩いの場や楽しい遊び場、拠り所となる場所、魅力的な空間・景観となるように考えて設計した施設。今後もたくさんの人々が訪れ、今回設計したさまざまな施設が八ッ場ダム周辺の地域振興の一助となれば光栄です。
分野横断で連携を図りながら、都市スケールの事業展開を加速